いま私は歯医者に通っています。
少し前から通い始め、いろいろ悪いところを全部みてもらって治療中なのです。
治療・・・というより工事といった方がふさわしい。
いま着手している工事現場は、右上奥の5番の歯です。
今日はやや浮いてきている金属カバーを取り外し、中を治療し、新しいカバーをつけてもらう予定です。
先生は、ここの何が悪いのか、そしてどうすれば良いのか、工事部分の作業工程を、モニターに私の巨大な歯を映しながら丁寧に説明してくれます。
きちんと患者の顔を見て細かく説明してくれる先生の人柄は、信頼できるものです。
あとは先生の腕を信じるのみです。
痛い時には麻酔が施されるので、怯えながらも口を大きく開けてじっと耐えているのですが、今日は・・!
治療を工事と言わざるを得ないくらいの、すごい音がしました。
歯医者さんの機械音は誰もが苦手だと感じるものでしょう。
金属カバーを取る工事ゆえかもしれませんが、それにしても今日のは今まで聞いたことのない恐ろしい響き・・例えるなら、工事現場の溶接の音です。
痛みはほとんどないのに、この音には耐えられそうにありません。
それと、ぐっと力が入っているため、めちゃめちゃ肩が凝って苦しく、だんだんあごも疲れてきました。
「金属がけっこう大きいですね、なかなか手強いです、大丈夫ですか?」
先生は時々声をかけてくれます。
もうあかん、と1度手をあげて休憩しました。
ストレッチをして、うがいをします。
「しんどいですよね・・・もうちょっとです、頑張りましょう」
先生に励まされ、イスに横になるとまた大きな口を開けます。
「もうちょっと」がとてつもなく長い時間に感じられ、まだかーまだかー・・・
時々道具が代わり、溶接から次はコンコン!とカナヅチのような音がします。
建築工事でも土木工事でもいいので早く終わってください!
神に祈る私の肩はまたガチガチに凝ってきます。
「取れました!」
先生の声で、ようやく長い工事から解放された私は
「先生・・・金属カバーの中に国家機密の入ったマイクロチップが隠されていませんでしたか」
先生は間髪入れず、
「探しましたけど、国家機密は見つからなかったですね〜。今日はここまでにしましょう、すごく疲れたと思います、ゆっくりお風呂に入って温まってくださいね」
ノリのよい先生の優しい言葉で安堵しつつ、歯医者さんも大変なお仕事だと実感しました。
歯医者って1箇所治すのになんで何回も通わないとダメなんだ、と誰もが1度は思ったことがあるはず。
しかし、今日はさすがにもう無理!と思いました。
本当はカバー取り外した後に虫歯を治療する予定でしたが、カバーを取るだけでおよそ1時間近く。
先生も想定外の工事で疲れたはず。
あったまってください。
(雪)

