9月手本 紫式部と雀

この時期よく目にするきれいな紫色の実があります。「ムラサキシキブ」といいます。今月の手本となりました。そしてムラサキシキブの相棒は、スズメが登場です。スズメが好奇心旺盛に実をじっと見ている・・・という雰囲気の構図です。

まずムラサキシキブは、紫一色で彩色します。まだ熟していない実は緑を使います。小さな房のように実がかたまって成るのが特徴ですが、「そういうものだ」と頭に入れておけば、それほどこだわる必要はありません。ただ、あまりバラバラに描かないほうがよいです。

丸い実は筆では描きにくいと言われます。筆の穂先を使って軽くかたちをとり、濃淡が出るとベストですが、小さくなればなるほど難しくなります。ぐりぐりと塗りつぶすのはよくありませんが、実同士も、濃いもの薄いものがあると立体感が出ます。

 

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スズメがぐっと身を乗り出して見つめている様子が可愛らしいです。

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この子は見上げている雰囲気が出ています。

 

鳥は、簡単にからだ全体の構造をわかってから描くのがよいです。「頭」「胸(おなか)」「背中(はね)」「足」と、パーツごとにわけて描いてゆきます。どこも重要ですが、クチバシと足は特にその鳥の特徴がよく出る部分です。

スズメは、クチバシがあまり長くありません。小さすぎてもいけません。三角◁をつくる感じで線描きします。頭は丸くしすぎないように、わりと平らにします。足も短すぎず長すぎず、足の指先が、胸の位置より前に出ないように注意します。前に出てしまうと全体の重心が後ろに下がってしまうので、絵を見たときに「スズメがしりもちをつきそうだ」という印象に仕上がるからです。

茶色っぽい色と黒で仕上げるとスズメらしさが出ます。わりとやんちゃそうな顔つきをしていているのです。ふだん身の回りにいる鳥ですが、なかなか近づくことはできないので、観察するのも難しいです。

→ 「雀を描けますか?」