6月手本 鹿

6月1枚目の手本は、「鹿」です。前回の猫とちがって今回は鹿の部分に下図があります。でも、鹿の体を塗ることに時間がけっこうかかりました。

面を塗るということは一見簡単な作業にみえて、和紙の場合実はかなり技術がいります。筆で色(墨や顔彩)をただ置くだけではなく、筆にふくまれる水とその水をよく吸う和紙との戦いがあるのです。
※この場合、表面に防水加工をしていない生の和紙を指しています。

水の吸い方は和紙の種類(原料)によって違い、同じ和紙でも新しいものと古いものでは変化が出ます。

水が少なすぎるとかすれ、水が多すぎるとにじみます。描くものによって水分量をコントロールしなければなりません。「かすれ」と「にじみ」を思いのままに表現するには、水をいかに味方につけるかがキーとなるのです。

「それさえ出来たら」とよく皆さん言われますが、そんな単純なものではなく、それこそが水墨画の奥深さであり、終わりのない永遠のテーマであると思っています。

作品の完成度は描く技術(上手、下手)だけではありません。そして100%思いのままにいかない部分があるからこそ、面白いのです。

(雪)

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