庭のある家へ②

郊外の丘陵地が新興住宅地となり、各戸違った家々が建っている。息子夫婦の住む家は、小造りな分、敷地がけっこう広い。ベランダしかない私達のマンションから比べると、「いいねェ、回りが庭なんて羨ましい!!」となる。

わが家にあったレモンの木が大きくなって、ベランダではかわいそうな状態になってきたので、「アンタの家の庭へ植えてやって」となかば強制的にあげた。

そんな訳で、そのうち植え替えようと彼も思ってはいただろうけれど、いつの間にか1年以上経ってしまったのだ。

さて、焼き物鉢だとカナヅチでガンとやれば壊れる。底から根が出て地面に這っていても何とかなる。しかし、プラスチックの植木鉢、それも50センチ角、高さもそれぐらいとなっては、「どうする?コレ」状態である。

息子の家にはあまり道具も揃っていないだろうと思い、いろいろ持って行った。バールもそのひとつ。これが大いに役に立った。植え替え用の穴の回りを大きくするにも利用、最も活躍したのは、バールの破壊力だった。

ビクともしないプラスチックの鉢を、これを使って砕くことに成功。私達は、ヤッターッと声を上げた。かくしてレモンの木は無事地面に下りた。アゲハやクロアゲハの子達を乗っけたままで。

枯れた部分、エカキムシのついた葉など取り除いたら、うわっいいねェ!これで今成っている小さな実も大きくなることだろう。めでたし。

(玉麗)

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