やっと秋らしくなって、花屋に出ていたダリアを2鉢買ってきた。ダリアって秋の花だったンダと、今頃つくづく眺めている。
子供の頃から身近にあった花には、あまり目が向かないもので、同じダリア種でも皇帝ダリアのように、今まで見たことがなかったものにどうしても興味が向いてしまう。
ダリアを買ったのは初めて、というのもそうしたことが影響していると思う。
この花は球根なので、鉢植えでも来年2芽出るらしい。大きな鉢に植えてやると倍ほどにもなると教えられて、植え替えた。
蕾がいっぱいついている。矮性なので、丈は30センチくらいしかない。昔ダリアは畑に咲いていて、子供の頃の私の背丈くらいあったような気がする。
ビロードの暗い赤が多かった。美しい色なのだが、子供にとっての好ましい色ではなく、快活さも感じられない。むしろ手折ると何か悪いことでも起きそうな、禍々しさを覚えた。
その花が咲いている家の家族に、食べても食べても食べたことを忘れてしまう痴呆症の老人がいて、大きな屋敷の奥から時々、“飯をくれーっ” と声がするという。
子供達の想像を逞しくするに充分な迫力の噂であった。
わが家の白とピンクのダリアは、秋の陽を受けて端正に輝いている。この花からの呪縛はもう微塵もないことを、飛来した花アブが陽気に告げている。
(玉麗)