直径30センチ足らずの壁掛け時計を手に、困り顔の老女。
そこへフイに現れたヨドバシスーパーマン。
にこやかに問うてくれる。
「何かお困りですか?」
さっきもアンタを助けたよナなんて、無粋なことはひと言も言わない。
しかし私の方は目を丸くして、
「先ほど案内してくれた方ですネ」
「そうです、各階をまわっておりますので」
話しながら時計売り場へ私を促し、
「時計に詳しい女性スタッフがおりますので、お尋ねください」
と言って足早に去って行った。
家に帰ってフイに思い出した。
何年か前のこと。
ちょっと重いが送ってもらうほどではなく、車に乗せて持って帰ろうと娘と2人レジを離れた時。
後ろから声がした。
「お客様、カートをお使いください。パーキングは1時間余分に無料になるよう手配しておきました。ごゆっくりお買い物を楽しんで下さい」
どこからかカートを押して来た。
パーフェクト!!
この人レジの横に居たんかナア。
と感動するくらいの接客をしてくれたスタッフがいた。
あの人だ!間違いない。
「黒いカードをお持ちでなかったら、ゴールドカードからの変更をお勧めします」
と言って、その係のスタッフのところへ案内してくれた。
今までのカードでは少々不便な点があったので、他店との競争もあって黒いカードを考案したのだろう。
そのために困惑気味の人を探して、店中歩き回っている訳では決してない。
店内のスタッフに、お客様とのコミュニケーションを、自らがやって見せて教育しているのだ。
「偉い方なんですネ」と言うと、「いいえ、そんなことは・・・各階をまわっているだけです」と笑っていた。
スバラシイ!!
アリやハチなど集団で生活する昆虫は、ようく働く20%ぐらいの仲間に支えられているとか。
働きアリの法則(2:6:2の法則)〜wikipedia
- 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
- よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
- よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働く蟻になり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。
- よく働いているアリだけを集めても、一部がサボり始め、やはり2:6:2に分かれる。
- サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
この話は時々耳にする。
そして人間も同じであると結論される。
そうかもしれないとその都度思う。
雨の日、雨傘を買おうと出かけたが、やはり時計だと思い直した。
私を形成しているあらゆるモノの中のひとつのパーツが欠けては、どうも落ち着かない。
軽い、音がしない、見やすいの3条件に合うものはなかなか見つからなかった。
壁面いっぱいの時計の形状・重さを確かめていたら、小1時間はすぐ過ぎる。
行ったり来たりで足も疲れた。
「音がしない」点が確かめる術がなく、耳に当ててもコチコチ音は確認できそうもない。
何しろヨドバシは店内放送が切れ目ない。
疲れ果てて、これかナと思った時計を持って突っ立っていたところへ現れたのが、スーパーマンだった。
他の機能は一切ついていないので、安かった。
その時計はテレビの上部の壁に掛かっている。
軽い、音がしない、見やすい、3条件に揃ったものはあった。
ただ前面がガラスであった。
これを何とかしないと。
新たなミッションが浮上してしまった。
(玉麗)

