私の乗った博多行きのぞみ1号はかなり混み合っていました。
間違えた自由席1号車も然り、3号車もいっぱいです。
私の予約した席は3人席の窓際A席で、真ん中のB席にも通路側のC席にもすでに男性が座っていました。
これはトイレへ立つことはほぼ難しい状態です。
ところで、新幹線の座席を選びにも、好みがあると思います。
窓際には、車窓による開放感・コンセント有り・端っこで落ち着く・などのメリットがあるため、まずは窓際の席から埋まっていくことが多いのではないでしょうか。
ただ、デメリットとして奥まっている分、席を立つことが困難ということがあります。
逆に通路側には、人に気を使わずトイレにスッと行けるメリットがありますが、通路を頻繁に人が通るため落ち着かないかもしれません。
また、富士山など車窓からの素敵な写真も撮れません。
私の場合は、カフェの席と同じ理由で、奥まった場所というのが苦手なので、通路側を好みます。
確実に空いている場合のみ、窓際を選びます。
たとえ何気ない日常であっても、お店や車内など閉鎖的な空間の中では、「どっしりとした安定感」よりも「いち早く逃げ出せる身軽さ」の方を重視する傾向があるのです。
グラグラと不安定な机や椅子、足場の不確かな場所、ブランと垂れ下がった意味のないヒモなど、毎日の生活の中に存在する違和感や、危うい場面が気になって仕方ありません。
前を歩く人の、ほどけた靴紐を見ては「なぜ気づかない?」と勝手にハラハラします。
いや、人のことよりもまず自分なのですが。
幼い頃から常に「動線確保!」と教え込まれた危険回避能力かもしれません。
誰による指導かは、言うまでもありませんね。
脱線しましたがさて、着席した私はパソコンを出して、さっそく作業を始めたのですが、ほどなくして隣の席の男性がこくりこくりと眠り始めました。
居眠りならよくあることですが、次第に私の領域にグーーッと重心が襲ってきたのです。
電車内でよくある光景です。
ほっそりした男性ですが、若いせいかとにかく眠いようで、さらに私の方に重心の傾きが設定されてしまっている様子。
重い・・・・・・・・
時々、さっと姿勢が戻り、(よし、このまま向こう側へ行ってくれ)との願いもむなしく、またすぐにグーーーッと重心が・・・。
しばらく様子をみましたが、一向に起きる気配もなく、重さは増していきます。
・・・・おい!
1号車での自身の失態をケロリと忘れ、私はいいかげん腹が立ってきました。
こっちは華奢な女子とは違うのだ、この肩幅をなめるなよ!苦しいじゃろがい!
重心攻撃が始まってから新神戸、岡山、とかれこれ1時間近く経っていました。
それにしてもよく眠れるな・・・チラッと横をみると帽子をかぶっていてよくわかりませんが、20歳前後のような若いお兄さんです。
自分の若い頃を思えば、「そうだ、若さとは眠さなのである・・」と理解しつつも、それにしても重いやないかい!と肩幅で何度も突っ張り、一瞬姿勢が戻り、またグーーーの繰り返しで、岡山を過ぎ、福山を過ぎてもこの攻防は続きました。
『意識のない人間の体は重い』
と聞いたことがあります。
私はいつしかアームカバーの毛玉をポツポツと取り始めました。
もしこれ以上重心攻撃を続けるなら、この毛玉ボールを鼻の穴に突っ込むぞという気負いでいると・・ついに広島に到着。
スッと目覚めたお兄さんは、サッと立ち上がり、そのままあっけなく下車していきました。
拍子抜けした私は、静かに毛玉ボールを志津屋の袋に入れました。


旅にトラブルはつきものですが、ブログのネタができたことを思えば、肩幅攻防も新幹線の精霊からの贈り物かもしれません。
広島を出てからの車内は、おそらく観光客が大半だったのでしょう、一気にガラガラになり、私も安心して肩幅に「もう自由だぞ」と語りかけました。

博多駅に到着したのは、午前11時すぎ。
研修会は明日ですが、観光をするほどの時間はなく、下調べもしていません。
何か博多名物くらい食べられたらなあ〜程度です。
先生と他の受講生とも約束は特にしていないのでフリータイムなのですが、ホテルのチェックインは午後3時。
私はとりあえず駅前のスタバに入りました。

ここでまたもやパソコンを広げて作業をすることにしました。
入れ替わり立ち替わり、スタバに人が入ってきます。
テーブルはお昼タイムに満席状態になり、またスーッと空いていったり、そんな人の流れにある種の心地よさを感じながら、「今私は九州の福岡にいるんだな」と70%くらいの旅の実感が芽生えてきました。
集中して作業をしていると時間はあっという間に過ぎていきます。
午後3時前に、チェックインのため私はスタバを後にしました。
荷物は小さなカバンと小さなスーツケースのみ。
ホテルに到着してチェックインを済ませると、小さな部屋でしばしくつろぎました。
豪華な広い部屋も素敵だろうけれど、ビジネスクラスのホテルも手軽さが魅力です。
必要なものは揃っていてコンパクトにまとめられているので問題なし。
しかもこのホテルには大浴場があって、部屋の狭いバスルームに入る必要がないのです。
これはありがたい!
LINEで、先生たちと夕食に行く約束をして、待ち合わせ時間までに旅のブログを書き始めました。
その夜は博多名物のもつ鍋屋さんへ行き、久しぶりの同志と再会を喜び合いました。
もつ鍋屋さんではアプリを登録するとオリジナルスパイスをプレゼントします、とのこと。
おそらく大阪にいたら、面倒なのでスルーしていたはずですが、ここは「ではせっかく福岡に来たことだし」と皆で登録してスパイスをいただきました。

これぞ旅の記念ですね!
(雪)

