Yさんのお米

先輩のYさんとは、もうかれこれ40年近いおつきあいになる。

姉の同級生で野球部のヤンチャ坊主であった、と伝え聞く。

7歳年上なので、在学中彼の方はとっくの昔に社会人になっていた。

隣の街の住人であったため、お会いしたこともない。

それが高校の同窓会で初めてお目にかかり、たちまちの内に彼の取り巻きの1人になった。

話術が巧みで豪放磊落な性格は、会う人すべてをからめ取っていく魅力に溢れていた。

近づく人が望んでいることを、彼の力が及ぶ限り最大限行使して、惜しむことのない人である。

社会的にも成功している人の1人として、喜んでくれることをするのが信条と思っておられるのだろう。

別の先輩から、最近創立50周年パーティを開催されたと聞いた。

「でもナ、お祝持って行っても受け取ってくれんよ」

とも。

Yさんらしい。

私が個展を催していた頃、案内状を送ると必ず来場してくれた。

そして必ず作品を買ってくださる。

何のお返しもしてこなかったけれど、祝意だけは伝えたいと思い、デパートから果物を贈ったところ、電話があった。

「Rちゃんから聞いたんか?」

「いえ、Mさんからです。盛大だったそうでおめでとうございます」

から始まって、いつもと変わらぬ調子で喋りまくる。

仕事の関係者がほとんどだったようだが、田舎からもバスをチャーターして来てもらった。

その数300名近い。

招待者は帝国ホテルに集合し、Yさんが考え出した最高のもてなしを受けたはずだ。

郷里の徳島からは、一番有名な阿波踊りの連「ごじゃ平」が出演したらしい。

今も会社の陣頭指揮をとり、郷里の別邸へは月2回通っていると言う。

つい最近まで自動車を運転して行っていたが、さすがに今はバスに替えた。

「いやいやよかった、その件ずうっと心配していました」

と言うと、

「近日中に稲刈りに帰るから、米送るワ、今、コメもらうのエエやろ」

と快活に笑った。

Yさんが作るお米は2度いただいたことがある。

小粒で甘みがあり、冷めてもベタッとしない美味しいお米であった。

うわっ 楽しみ。

(玉麗)

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