タケコプター

いくつになっても、フッと子供の心に戻ることがある。

例えば、「ドラえもん」は娘や息子が子供のころ夢中になったアニメである。

あのスーパー猫のポケットから出てくるとっておきの品々に、憧れたのは彼らだけではなかったのだ。

中でも特に欲しいものは「どこでもドア」と「タケコプター」。

旅行はおろか、すぐ近くの街中へ出て行くのにも躊躇する今となっては。まことにノドから手が出そうなほど欲しい道具だ。

 

先日「緑のラビリンス」でも書いたが、行きたいと思っていても行けないところはいっぱいある。

それと、私たちの住んでいるこの街を、超低空飛行して眺めたい欲求が私にはある。

それはかなり以前から、ひょっとしたら子供の頃からあった望みだったのかもしれない。

タケコプターではなく、ドローンが目の代わりなってくれる世の中にはなった。

しかし違うのだ。

この身が浮き上がり、フワフワと空を飛んでこそ見える景色があるはずだ。

 

一番身近なところを例にとると、私の部屋のベランダを外側から見てみたい。

樹の緑、花の赤・黄・紫、いくら美しく育ててみても、私は内側からしかそれらを見ることができない。

ベランダのすぐ外側に浮き立って、陽の光に輝く花々に目を細めることは不可能だ。

タケコプター、欲しいナア。

 

お転婆な女の子だった私は、木登りを怖がらなかった。

友達の家の前にあった大きな木によじ登るのを、大冒険のように思っていた。

しかしその子は時折意地悪を言って、登らせてもらえない時があった。

自分ちに大きな木がないことを悔しがった日のことを思い出す。

タケコプターはおろかテレビすらない、遠い昔のこと。

 

「タイムマシン」があればあの頃に瞬時に旅することができるに違いない。

でも、バアさんが行ったって面白いところじゃない。

メルモちゃんの薬があったとしても、いかないだろうなあ、たぶん。

(玉麗)

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