かつて「ホリホリ」と「ウロウロ」のコンビがいた。
「ホリホリ」は、世に未練はアリマセン、とさっさと彼岸へ旅立った。
ウロさんの方は、今も生真面目にボランティアを続けている。
このマンションの自治会は、ほとんどの場合このコンビに委ねられていて、2人はその他の有志をかき集め、目覚ましい働きをしてくれた。
夏祭りがコンビの最大の活躍場所で、次々と奇策を繰り出して、住人たちを楽しませてくれた。
祭りが終わった翌日のメールを読む機会が訪れた。
整理した書類の、ウラが白いのを利用してメモ用紙にしている。
その中に、「ホリホリ」からのメールのコピーがあったのだ。
思わず口元が緩む軽妙なトークをする「ホリホリ」、私のことを「玉ちゃん(タマちゃん)」と文面で呼んでいた。
ちなみに、「ホリホリ」は、娘が「愉快なオッチャン」につけた愛称で、彼も気に入っていたらしく「ホリホリより」と結んであった。
彼が逝ってしまってもう3年以上経つ。
確か私より1ツ年下であったように記憶している。
オッチャンではあったが、万年青年みたいな悪ガキ的要素を持っていた。
もう1人、前後して亡くなったTさん、ホリホリ・ウロウロコンビと共にこのマンションに無くてはならない人であった。
ガレージ手前でよく出会った。
「澁谷さーん、元気ですか」
と、いつも声をかけてくれる。
今でも時々、ふっと声を思い出す事がある。
2人は仲が良かったので、向こうへ行っても「何か面白いこと」を企てて、冥界の住人たちを喜ばせていることだろう。
(玉麗)