消費意欲に火をつける技

あるデパートで、今まで聞いたことのない企画を催すことになった。「衣類(古着)1枚に付1,000円の商品券を出します」

女達は色めき立ったが、そのチラシをよくよく読むと「1万円以上の商品1点に付き、1枚使用できます 古着は10枚までOKです」とある。

これでも少々カン違いしそうであるが、1万円以上のものを10点買ったからといって、1万円値引きしてくれる訳ではない。

なあんだ、そんなことかと多くの女性は気がついただろうけれど、ひょっとしてカン違いしたまま、古着を10枚持って受付カウンターへ行った人もいるかもしれない。あるいは1万円以上で1,000円引いてくれるならと考えて、利用した人もいるだろう。

この企画が成功したのか、そうでなかったのか、私は知らない。利用しなかったからだ。

別のデパートの私の好みの店から、「断捨離しませんか」と案内状が届いた。その店で買った古着1枚に付、1,000円のチケットをくれる。その店の商品11,000円以上のものを買えば、1枚使えますとの文言が並んでいる。

あるデパートが行った企画と同じものだ。ということは、あの企画はある程度の成功をおさめたのかもしれない。

物と金が世の中でスムーズに流通することはいいことだ。けれども古着を汗だくで持って行って、ほんの少し安くしてもらって別の物を手に入れる労力に、私はいささかの抵抗がある。

キャンペーンは5日間しかないから、よく考えず不用なものを買ってしまいそうで、不安がある。消費は、自分の都合で納得して、初めてウキウキと楽しめるものだと、頑固に考えているからかもしれない。

(玉麗)

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