カモメのなく夏

先日蒸し暑い夜、娘がエアコンをかけていたが、私1人でいるとまだ必要性は感じない。

扇風機でさえ出したものの隅の方へ 置かれて、出番はめったにない。

わが家は夏向きの家なのだ。

 

本を読むと目が疲れてかすむ。

なるべく避けているが、活字好き人間は新聞で紹介されたおもしろそうな本を目ざとく見つける。

手に入れたら読む。

目薬さしてショボショボさせながらも。

「赤と青のガウン」

本屋で見つけてああこれかと手にとった。

あと 少しの所まで読んだ。

執筆された彬子女王は今や超有名な皇族のひとりになられた。

三笠宮家の長女でお役職は多すぎて書ききれない。

2015年に出版されたものが、最近ツイッターによりあっと言う間に広まった。

2024年文庫本となり、平積みされた場所を通る人は立ち止まる。

オックスフォード(英国)留学2度の5年間で体験された、様々なことが綴られている。

父君は寬仁親王、もう亡くなられたが「ヒゲの殿下」と呼ばれて親しまれた方だ。

皇室の話が特に好きと言う訳ではないが、写真や画像で拝見して好感が持てる方の情報は、何となく目にしてしまう。

そして好意的見方をするので、この本も大変興味深く読ませて頂いた。

外国でのプリンセスの日常は思わず口許がゆるむ個所もあり。

日本美術の研究で、体調を崩されたりしながらも博士号取得まで奮闘された生真面目な性格が好ましい。

残りわずかになってしまったページを丁寧にくっている。

今年もまた我が家で、カモメの鳴き声が聞こえる季節がやって来た。

私達とは住む世界が違う方が書かれた本が、このように「読みたい本」となってかたわらに在る、ラッキーなことのひとつなんだろうなと思いながら、カモメのスイッチを入れた。

(玉麗)

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