敷地内に山桜がある。桜はこの木だけ。ソメイヨシノに浮かれて疲れた頃、ひっそりと咲く。それが散る頃になった今日、風が吹いた。
ハラハラ、ヒラヒラ、遠くの方まで飛んでゆく。ソメイヨシノとは少し違う感慨を与えてくれる。けれども花は間近には見ることができない。
ソメイヨシノのように枝垂れる部分がなく、木が大きくなると枝は上の方になり、離れた所から見るか、見上げるしかない。
初夏には虫のフンがあたり一面落ちてくる。毛虫である。それでも庭に桜があるのはうれしい。日本人ならではの心情だろう。
カエルは毛虫を食べないのですか、と聞かれたと娘が言う。で、何と答えたかというと「食べません。食べさせたこともないです。なにしろ過保護なもんで。さしみが好物のようです」
娘が小さい頃、オオヨロイという外国産のトカゲを飼っていた。
冬場にミノムシを与えたところ(もちろん袋から出したのを)、パクッと食べて、次の瞬間ベエと吐き出した。ミノムシはおいしくないらしい。
というようなことを書くと、先生達は爬虫類好きなのかと思われそうだが、そういう訳ではなく、たまたまそのような仕儀になったと説明している。
桜とペットの話には共通点がないので、落ちもない。
(玉麗)