ペンちゃん

風太の晩年のこと。私達の留守の間も寄り添ってくれるものを探していたら、ペンギンのぬいぐるみを見つけた。

若い頃なら与えるとすぐ飛びかかって口にくわえ、振り回して遊んだだろうが、もうそんな元気はなく、そのかわりもたれて眠るのにちょうど良い形だったようで、そのペンギンは彼のお気に入りになった。

私達はペンちゃんと呼んで、重宝していた。風太が眠そうになると横に置いたり、枕にしてやったりしてけっこうお守り役をしてもらった。

風太が亡くなった時、箱舟に入れようかと思ったが、ちょっと大きいのと、風太を偲ぶよすがとして残しておきたい気持ちもあって、今もわが家にいる。私の作った風太のぬいぐるみと一対になって、娘の傍に居る。ペンちゃんは今では娘の枕になったりもする。

ある日浴室の前にコロンと置かれていた。長い間洗っていなかったので、お風呂で洗おうと娘が持ってきたらしい。洗って脱水をかけると、水色と白のフワフワが蘇った。空の飛べないペンちゃんの羽根を広げて、竿に干してやると、風太のいる空に向かって今にも飛び立ちそうにユラユラしていた。

ペンちゃんはいつも眠っている。目がそのように作られているのだ。風太見守り隊長の役目を終えたペンちゃんは、黒い小さなぬいぐるみの傍でいつも横になっている。ペンちゃんの目は、おやすみなさいと言っているかのようだ。

洗濯後、ふわふわが蘇ったペンちゃんの哀愁漂う背中

(玉麗)

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