玉麗のお話「テラとムン ①おすそわけ」

「ムンちゃん、ごはん食べに行こうよ。おごるから。」

「えー、最近、金欠病って言ってなかった?」

「臨時収入あってん。」

「へえ、いくら?」

「1万円ちょっと。」

「1万円(かあ・・・)。」

「マア、ランチしてお茶飲むぐらいはあるよ。
デパートでお昼ごはん食べよっか。」

「うわ。久しぶりやナア。
買わへんけど、アチコチ見て歩くの楽しみやねェ。」

「ア、コレええねェ。いくら・・・・29,000円やて!」

「テラさん、半額って書いてる!」

「14,500円か、ソレなら高うないネ。」

「お金あるの?さっきのランチで4,000円使うてしもたよ。」

「そやね。奥の手出そう。
支払いは1カ月先!」

「クレジット!?」

「そう。」

「でも残金なかったら決済出来ひんよ、あるのン?」

「奥の手がある。」

「何本あんの?」

「うーん・・・ちょっと考えよ、か。」

「そうや、いろいろ見てからにしたらええよ。」

「そやね。もうちょっと見て歩こ。
半額やったら、1万円の予算で2万のもん買えるし。
ムンちゃん何か欲しいもンない?予算1万円。」

「エ?なんで?」

「奥の手あるって言ったやろ。」

「ホンマにあんの?」

「アノナ、金持ちの知り合いがおるねん。
その人いっつも現金払い。
クレジットも使うたことないねんて。
ギフト券もらったのにずうっとサイフに入れっ放しって、くれた。
いや、ちょっと用事頼まれて、そのお礼やて。」

「スゴイ、剛気な人やねェ。
でもせっかくもらったのにテラさん使ったらエエやン。」

「ムンちゃん、もらったもンはおすそ分けせなアカン。
そしたらまた、入ってくるらしいよ。
半分あげるワ。」

「エーッ、うれしいけど、ええのかなア・・・・・。」

「エエねん。ハイ、1万円分。」

(玉麗)

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