さて、ウールのセーターにウールのコート(当然ですが1人も居ませんでした)を羽織った私は、エコバッグを肩にかけて三輪山を登り始めました。
慣れた方は自由に、私のような初心者は少し連なって、それぞれ細い登山道を登ります。
私の前には、両親と中学生1年生くらいの少女の3人家族らしきグループがいて、両親は速いのですが女の子が私と同じくらいのペースだったので、なんとなくついていくような形で進みました。
さっき頂いた心得には、登拝道案内図がイラストで示されています。
緊急時の目標として、9つのポイントがあり、それぞれ名前を標識が立っていますとのことです。
丸太橋足元注意とか、急な山道、ぬかるみとか、注意事項を丁寧に描かれた地図は、登りの際、位置の目安になって助かりました。
山道はというと、最初からけっこうな坂です。
それでも体力があるうちは「私って意外と山登り好きなのだ」などと思える余裕がありました。
ウール100%もまだそれほど苦痛ではありません。
ただ、石の階段が続いた時に、バランスを崩さないようエコバッグの持ち手を両肩に通し、リュック風に持ち替えました。
これはいい。
連続する急坂で、かなりへばってきた頃、ようやく休舎に到着しました。
案内図を見ると、えー・・・・まだここ・・・・・・・
3人家族の横にちょんと腰かけ、ハンカチ出しとかないとなーと思っているうちにもう出発です。
休憩は3分ほどでしたが、一気に体が重くなったのを感じました。
足はすでにだるく、もうダメですと訴えます。
いや、私の筋肉たちよ!まだ3分の1も来てないのに。
次に、一気に汗が頭から吹き出しました。
暑い、暑い、暑い!!!!!
ここへ来てウール100%、いや×2で200%じゃないかというくらいの激暑タイムが襲い、まずコートを脱ぐと腰に巻きました。
心臓のビートも激しく、ひとっ風呂浴びたくらいの汗で髪がベトベトに。
こんにちは〜という下山者の挨拶にも
(こんにちは・・・)
空気の摩擦音だけで声が出ません。
山道はずっと急で狭く、丸太階段が蛇行しながら続きます。
木の露出根があちこちにでっぱり、昨日の雨でところどころぬかるんでおり、つまりしんどいだけではなく非常に歩きづらいのです。
ランナーズハイという言葉があります。
走っているうちに苦しさが消え、もっと走りたいという高揚感や幸福感満たされる状態のことだそうです。
これだけ苦しかったら、登山ハイが来るはず・・・と足を止めることなく進みましたが、筋力はボロボロ、ゼエゼエ言って幸福感どころか絶望感のゾンビです。
前を歩く少女に何度も心の中で、「私のことはいいから、先へ進みなさい」と訴えかけました。
少女もすでに上着を1枚脱いでいました。
私は一体、何をしているのだろう。
後半のボロボロゾンビ状態の記憶が、今思い出そうとしても思い出せません。
ボロボロになりながらも、ここでコケては最悪ですので、足元を確認しつつゼエゼエと登り・・・
ついに頂上の奥津磐座(おきついわくら)に到着しました。
標高467.1mです。
私の後頭部はすぐにシャンプーできるくらい汗でぬれていて、足はガクガクしています。
小さなお社があってお参りをしました。
ぱらぱらと人が到着、お参りをし、下山していきます。
休憩というより呆然とした様子のまま、何分くらいそこに立ち尽くしていたでしょう。
登山時間はおよそ55分でした。
さて、下りよう。
(雪)