ペリドット(宝石)グリーンが好きで、小さな石のついたイヤリングを手に入れた。
もう20年ぐらい前のことだ。
けれども初めて身につけた日落としてしまった。
では片方は残っているかと言うと、ないのだ。
両方とも落としてしまったのだから、よほど縁がなかったとみえる。
以来、私の小さな宝石箱にはこの色の装飾品はない。
今は全然つけないから、娘にほとんど渡してしまった。
春から初夏、梅雨の頃、あちこちのグリーンが燃え立つように精気を放つ。
さわらび、しだれやなぎ、もえぎ、わかくさ、とくさ、これらは色の名前である。
カタカナではピスタチオグリーン、リーフグリーン、オリーブグリーン、エメラルドグリーン、ライムグリーン、ミントグリーン、等など。
わが家にもこれらの色彩があふれている。
陽に透けてより輝くのは、アフリカンプリンスの大きな葉、アラレアの新芽はペリドットに近い。
ベランダのホープブロッコリーは緑の灰色を混ぜたような不思議な色で、雨粒が落ちるとコロコロと踊り出す。
アマガエルを乗せてやりたいような葉である。
カエルケースに入れてみると「ツチガエルだってホラ、似合うヨ」とばかり上に乗って目をパチクリしている。
なかなか愛らしいものだ。
この時期の観測史上初めてとの暑さが続き、雨が降った。
やっと本来の気温にもどって植物が一息入れている。
人間もカラカラだった喉の奥がやっと普通になって、私は足の痛さもとれたので、二息ほどついている。
緑陰深しの季節がもうすぐやってくる。
(玉麗)