いくつもの訳があって、1鉢あった日向夏柑(ひゅうがかん)を処分した。
柑橘類の貴婦人と勝手に名付けている日向夏、あの黄色にほんの少し白を混ぜた高貴な色が忘れられない。
だからかどうか、それに似た色の柑橘を見つけると思わず吸い寄せられる。
ジャクソンフルーツは最近出回るようになった果物である。
アフリカ産で日向夏よりも大きい。
味はジューシーだが淡白で、あまり甘くもないし酸っぱくもない。
日向夏に及ぶべくもないが、主張しない味というのも好ましい。
グレープフルーツのホワイトに少し似ているが、苦味は全くない。
私の好きな味で、何より安価なのが嬉しい。
1個100円くらい。
私は1度に半分しか食べられないから、50円である。
今時50円で食後のフルーツを味わえるなんて、驚きというより他ない。
などと大袈裟に言いたくなるほど、昨今の果物は高価になった。
かつてひと山300円で買えたいちじくが、今や6個で1,000円以上する。
そのうち果物は高所得者のみの食べ物となり、庶民には手が出なくなるのではないか。
アフリカからやってきたジャクソンフルーツも今でこそ100円で手に入るが、来年はもっと高くなっているに違いない。
果物は野菜と違って、ベランダの鉢植えで育てられるものではない。
確かに実は成るが、食料と言えるほどの量は取れない。
果物農家の御苦労は理解できる。
私も田舎そだちで、父は品種改良などにも携わっていた。
けれども消費者と呼べるのは一般庶民のことである。
私たちの口にも入る値段の果物を作って欲しいと切に願っている。
アフリカの広大な土地はひょっとして、果物の宝庫なのではないだろうか。
けれども安い輸入フルーツが入ってくると国産は押されるのかも。
難しいことはよく知らない者が言うべきではない。
とにかく、果物がもう少し安くなることを願ってやまない。
(玉麗)