ジイサンがいる

急速にオッサン化している。
いや、もはやジイサン化と言った方が正しいかもしれない。

「マスクをしているせいで」、化粧をほとんどしなくなったことに因るところは大きい。

女性が口紅をつけなくなると、華やぎがいっぺんに失われる。
目だけは丁寧に時間をかけるのは若い女性で、中年以上はむしろ「マスクのおかげで」と思っている人が圧倒的に多い、と言い切れる気がする。

更年期を過ぎるとホルモン減退にも慣れてきて、体は安定してくる。

あちこちが痛くなったり、容貌の衰えは今更嘆いてもどうしようもないので、心の在り方を重視するように心がけたいと、何かが起きるたび思うようにしている。

しかし現実を直視する機会に直面すると、目を見張るほど仰天するのは私だけか。

うらうらと晴れた11月の小春日和、リビングでジャン(カエル)を遊ばせていた。

目にゴミが入ったような気がして鏡を見るとガクゼンとした。

陽の光が当たった見知らぬジイサンが鏡の中にいたのだ。

昔、村山さんという名の首相がいた。
眉毛が、日本昔話に出てくるオジイサンみたいに長かった。

まさかそこまでは伸びていないものの、鏡の中のジイサンの眉には、長くて黒々とした毛が3本、白いのも1本あった。

陽の光はかくも明確に真実を暴くものなのだ。

私は、眩しい太陽に報復の刃を向けることなく、けれどもよく切れる刃物でもって、つまりハサミを持ってきて、長い眉毛をチョンチョンチョン。

切ったらもっと濃いのが伸びるって聞いたけど、もう遅い。

(玉麗)

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