遠方より届く

椎茸が届いた。

今まで見たものとは格段に違う。

採れたてをすぐ送ってくれたものだから、新鮮さが別格である。

それにこの軸の立派なこと。

 

1コ焼いて食べてみよう。

アルミホイルに包んで、オーブントースターへ。

良い香りが漂ってきた。

チーン。

スダチをギュッと絞り、いただきまあす。

この旨みを味わうには、丸かじりよりも1口大に割いて、上品に口の中へ入れるのがよろしい。

コリコリと歯ごたえと共にほんのり香る椎茸は、口中でスダチと程よくマッチング。

美味しい!

半分は醤油を少したらして頂いた。

 

季節の美味しいもの便りは、M君からである。

彼の交友関係の広さに驚きながら、深く深く感謝する。

椎茸栽培の主(あるじ)も知り合いなのだそうな。

 

子供の頃ケンカ友達であった。

中学生になって、カーネーションを一抱えもらったことがある。

直々ではなく、教室の机の中へ突っ込んであった。

それでお礼を言ったり、仲良くなった覚えはない。

田舎の少年少女は素朴であった。

 

やがて大人になり、子供が成長し、各々の家庭へ遊びに行ったこともあった。

そしてジイサンバアサンになった今、時折思い出したように美味なるものを届けてくれる。

「知り合いに椎茸作ってるヤツがおってな、お前の顔思い出したけん送っといたワ」

と電話がある。

翌日届く。

モノくるる人は良い人だ。

「お返しは一切すなよ」

と、いつもひとこと添える。

 

3回に1度くらい、ささやかなものを(ただし、喜んでくれるものに限る)贈ることにしている。

それは機嫌良く受け取ってくれる。

奥さんも喜んでくれるものを厳選している。

 

「友あり 遠方より来る(きたる) 又 楽しからずや」

彼の好きな言葉だと言っていた。

(玉麗

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