風太はずっといる

携帯電話の待ち受け画面は、ミニチュアピンシャーがメガネをかけた画像を使っていた。
と言っても我が家にいた風太ではなく別の。

どんな犬を飼っていたのですかと言われてコレですと見せる訳にもゆかず、風太の写真を貼り付けてくれるよう娘に頼んだ。

テーブルの上に飾っているのと同じものでと言っておいたが、いざそれが出来上がって見ると、見るたびに胸が痛む。

テーブルの上の遺影は静かな気持ちで見ることができるのに、呼び出し音が鳴りスマホを開けると心が揺さぶられる。

もう7年と5カ月も過ぎていても、風太はしっかりと蘇ってくる。
アカン、変えよう。

新しい待受画面はワモンアザラシの赤ちゃん。
真っ黒のつぶらな目、口がおちょぼなのが笑える。
これに決めようか。

 

今朝は最近では珍しく5時に目が覚めた。
30分ほどじっとしていたが、さすがにトイレに行きたくなって起き上がった。

このところ少し涼しいので、夜目が覚めず朝までぐっすり眠っていることがある。
早く起きた日は午前中に絵を描きたい。

しかし今日はなぜか気が乗らず、ノロノロしていた。

机に座って風太の写真を見る。
途端に、「描くんです、描きなさい」と口走っていた。
風太が促しているのではない。

けれどもなぜか自分に命令しているもう1人の私。
描いた、2枚も。

1枚は風景画。
もう1枚はスズメとキクとクロモジの実。

さてどのように組み合わせたかは来年のお楽しみ。
手本といえども私の作品である。
手抜きを許されるはずはない。

何を描くか決める。

イメージ図を作る。

資料・実物を見て下図を作る。

本画を描く。

この手順はほとんどの場合変わることはない。

それでも、手本用の手本があったらどんなに楽だろう、と思うこともある。
玉麗がもう1人欲しい。

(玉麗)

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA