映画館は暗い。当然のことを、長い間行かなかったので忘れていた。
シアターは1ツのビルにいくつかあって、チケットを買う場所、エスカレーター、そのどこもが暗い。
私は最近、暗い場所が苦手になった。目が悪いから、恐怖なのだ。“暗いから怖い”ではなくて、“足許が見えなくて転倒する恐怖”に駆られる。
映画は「七つの会議」で、けっこうおもしろかった。クスッと笑えるシーンもあった。
狂言、歌舞伎の役者達の熱演、ようく見ていないと、アレッこのひとが?と思う出演者がいたり、やっぱり今の大御所となるとこの人になるのかナァと思ったり。
友人が(この人はよく映画に行く)「こんなに男の人達が入ってる映画って珍しいヨ」と言っていた。サラリーマンの悲哀、切実な問題を取り上げてミステリー仕立てで描く、高井戸潤の原作だからか。
今日の外出で、私はもう映画館へは行けないなと思った。どうしても行かなければならないことにもしなったら、私を気遣ってくれる人を選ばねばと、痛感した。
(玉麗)