外を見ていた来客が、ベランダの方を指して言った。
「ア、チョウが来ています!」
ベランダ側を背に座っていた私が振り返ると、アゲハ!
匂いにつられて来たのか、仲間の情報でこの家にはカンキツがあると教えられたのか。
残念ながらカンキツはもうない。
けれどもチョウを呼ぶと言われている花、ブッドリアが優しい香りを放っている。
先日は少し大きめのシジミチョウが来て、さかんに蜜を吸っていた。
ブッドリアは大きくなるにつれ、花穂をいっぱいつけて次々とかたまって咲く。
花の色も今回はきれいになってきた。
この花は蝶太郎さんからもらったもの。
彼のチョウハウスの横には、ふた抱えもありそうな、高さは私の背より高いブッドリアの株があって、いろいろなチョウが集まっていた。
日記を見ると「6月29日にちょうちょランドで林太郎さんと会う」と記されていた。
オオムラサキは今頃、休眠している頃か。
チョウを育てるのはけっこう大変である。
何年かやってみて、1,000頭近いアゲハをわが家のベランダから飛翔させたが、今夏は休止した。
いろいろ理由があってのことだが、一番の問題が幼虫が食べる葉の調達。
大きなみかんの木1本あれば心強いが、ままならぬ事でもある。
ならば、せめてチョウの吸う蜜を出す花をうえて、彼らの生活に貢献しよう、と今は思っている。
ブッドリアをもらったのは、そういうことだったのかもしれない。
この花は成長が早い。
地に植えるともっと大きくなるだろう。
ベランダではムリなので、せめて鉢を大きくしてやろうかと考えている。
(玉麗)