季節が変わろうとしている。秋色夏服から(秋色)秋服に衣替え。こんな言い方はつい最近のことである。ちょっと前まではそんな細かい分類はなかった。
ファッションは季節を先取りする。そうして購買意欲を掻立てる。夏のバーゲンの時に秋の色を展示すれば、バーゲン品と共にひょっとしたら買うかもしれないとの魂胆である。
しかしバーゲンは7月から始まる。これから夏本番、そんな時に(秋色)秋服を提供してもむさ苦しいだけだ。
同じように冬のバーゲンは1月、冬の最中に春の服は寒すぎる。そこで秋色夏服、春色冬服が登場する。( )で囲んだのは私の言葉で、ファッション業界では使っていないと思う。
若い頃は、少しぐらい涼しくなっても平気で夏物を使用していた。子育て時代など特に、自分のことはかまっていられないものだ。
年を経て、身につけるものに敏感になり、より着心地の良いものを、さらに快適に過ごせるものをと厳選するようになった。
ファッションは生き方が現れる。この言葉が理解出来るようになるには、長い年月を要するということも、ようやく解ってきた。私達の年代は現代の若い人達よりずっと奥手なのだ。
若い頃から確立していた人なんてほんのひと握り、の時代だった。今は意識さえしっかり持てば、身の丈に合った「ステキ」を見つけることが出来る。格差は広がりつつあるが、それなりの生き方もある。
そんなことを、通販の本を見ながらボンヤリ考えていると、ピーピーと音がした。季節が変わる時、洗濯物が多くなる。4回目の洗濯物が終わり、シーツが洗い上がったと知らせている。
ベランダは洗濯物の満艦飾になった。秋がようやく定着しようとしているこの季節が一年の内で一番好ましい。
(玉麗)