コロナウィルスがウヨウヨしている首都トーキョーへ、行かねばならない。
マスクに革手袋、ハンチングを被り、防護用ダスターコートに身を固めた男が行く。
2日間の滞在が終了するとただちに新幹線に飛び乗り、帰阪した。
しかし、大阪とて今や安全な場所とは言えない。
気をぬくことなく自宅へ戻り、手洗い・消毒を済ませると、2階へ上がった。
彼は誰とも会わず、ウィルス感染の有無を確認する期間中、じっと身を潜めた。
そして2週間後、晴れて潔白の身となった。
トーキョーへ行くと告げた日のことが思い出される。
家族には反対され、所属団体長には思いとどまるよう、説得された。
しかし・・・・・。
彼にはミッションがあった。
すべての制止を振り切って行ったものの、わずかだが不安もあった。
それが、雲が飛び去り陽が射すように、スッキリと晴れた。
所属団体長にメールを送った。
『私は元気で、酒がうまいと感じます。御心配をおかけしました。ワルGK 』
コードネーム「ワルGK」からメールを受け取った。
私は彼のことを、エージェントKと呼んでいる。
(玉麗)