ある日電車で

満員電車の中、赤ちゃんを抱っこベルトで
外向きにさせて抱っこしたお父さん。
側に赤ちゃんのお兄ちゃんを連れた
お母さんがいた。

私はすぐ近くにいたが、お父さんの体に
隠れて赤ちゃんは見えていない。
かわいいふっくらした右手だけ見える。

赤ちゃんからは背中しか見えない、
背の高い女性が立っていた。

すると小さな手が、
その女の人の方に触れた。

お母さんは笑って、ダメよという仕草で
赤ちゃんの手をのけた。

赤ちゃんはめげずにまた手をのばす。

私とお母さんの目が合い、
2人とも声を出さず笑った。

お母さんは女性の反応が気になって
チラチラ横顔を見ているが、
その人は一向に気にする風もない。
お母さんが、ダメよと手をのける。

赤ちゃんは次に、肩をトントンした。
私とお母さんはまたもや声を出さず笑い、
さすがに気になったお父さんが抱っこベルトを
外して、赤ちゃんを自分の方へ向けた。

電車が駅に着いて、親子連れは下車した。
その間3分ぐらいだったろうか。

お父さんは西洋人、お母さんはたぶん日本人。
お兄ちゃんは英語でしゃべっていた。

無言劇のような1シーンでを思い出して
口許がゆるむ。

(玉麗)

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