構図のヒミツ その1

構図の不思議

まだ雨ののこる毎日、むし暑いですね!今日は構図についてのお話を少し。

レッスンの時、色紙サイズ大の絵を、「これをハガキに描きたいです」と言われる場合がよくあります。もしくは、すでに自分で持って来たハガキに、ササッとその日の手本の絵を描いている人も。

その様子をみるとたいてい元の絵(色紙サイズ大の)を、そのままハガキサイズにギューッと縮小して描かれています。

が、ちょっと待って!そのやり方では、絵が小さくなりすぎてしまいます。

「構図」という言葉を、聞かれたことはありませんか?

この「構図」、作品をつくる上でとっても大切なカギを握っています。いつもの私のたとえで言うと、料理でいうところの、盛りつけの美しさのようなものでしょうか。

どんなにおいしい料理を数多く作っても、大皿に適当にぐしゃっと置いただけでは、それは果たして「料理」と呼べるのかどうか。自宅で食するだけならまだしも、レストランでごちゃごちゃと大ざっぱな盛りつけのお皿が出てくることは、ちょっと考えられません。日本食には和風の、洋食には洋風の、料理に合った食器も使われているはず。

逆に、技術力の不足分を補ってくれるのが、「構図」であるともいえます。

もし同じテーマで似たような作品を描くとしても、ハガキにはハガキサイズの、色紙には色紙サイズ、短冊、お軸、すべてそのサイズに合ったそれぞれ違う構図が必要となります。それを無視して好き勝手に描くことは、大皿にグチャッといろんな料理をただ乗せるようなものなのです。(たとえひとつひとつの味はおいしくても見栄えが・・・)

作品をつくる上で、もっとも難しいのも「構図」です。

料理をより見栄えよくおいしそうに見せる盛りつけることが「演出」であるならば、絵の世界での“うまく見せる”「演出」が、「構図」の役割ではないかと私は考えています。もちろん、作者の想いを作品に込めるということはとても大切ですが、演出によって作品がもっと良くなるのであれば、それを使った方がよいに決まっていますよね!

ところで、色紙サイズの絵をハガキに描きたい時、ではどうすれば良いのか?絵の全部をそのままギューッと縮小するのではなく、絵の一部を抜粋して、拡大するという方法があります。

その場合、元の絵で花がいくつもある場合は、大胆にカットして、ひとつだけ。小さくゴチャゴチャ描くと、何かよくわからないし第一描きにくいです。

「お知らせ」→「動画」の3分ムービー:テッセンを参考にしてみて下さい。あれくらいパキッとわかりやすく大きくひとつの花をクローズアップした方が、作品らしく堂々としていて良いと思います。