9月手本「河童の月見」は、墨だけで描きます。墨は、常に濃くすってください。少ししか使わない場合も、薄墨で描く場合も、いつも「濃く」すらねばなりません。薄墨なら、そんなに濃くすらなくてもちょっとでいいのでは?と思われがちですが、そうではありません。

たとえば、コーヒーをイメージしてみて下さい。濃くすられた墨というのは、エスプレッソです。一般的なコーヒーはその濃厚な原液をお湯で薄めて飲みます。薄めて飲むからということで、はじめから豆を少なめにしてうすーく淹れるかというとそうではありません。

※いろいろなコーヒーの淹れ方があると思いますが、私が前に聞いたイタリアンコーヒーの淹れ方を基準にしています。

どちらもちゃんと原液をしっかり作ることで、素材のもつ味わいがしっかりと出るのです。

また、墨を濃くするのは大変だし面倒だと思う方がおられますが、たいてい硯に水をドバッと入れすぎています。凹んだ部分(海)にたまるほど水を入れる必要はありません。平らな部分(丘)に適量の水をたらし、墨をそこでよくすります。1分もすれば十分な濃さがでます。足りなくなればまた少しの水ですればよいのです。

試しに1分間、集中して墨をすってみてください。その時間は、描く前に心を無にするためのひとときでもあるのです。

(雪)

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2件のコメント

  1. さすが、雪さん、
    心を無にする。確かに墨をすっているときは何も考えていない気がします。

  2. スマイルさん
    お元気ですか?心を落ち着けるにはもってこいの作業ですね!

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