通り際に鏡を見ると、目が吊り上がっていた。どうやら神社や寺の仕事をすると、何かに取り憑かれてしまうようだ。
何枚か描きなおしているうちに、ふと気が付いた。墨の色が思うように出ないと思ったら、これは練り墨ではないか!
墨を摩って心落ち着かせて筆を取るはずなのに、根本からおかしい。冷たいお茶を飲み息を大きく吸って吐き、さて最初からやり直し。
そうやって半日かけて仕上げた白椿の絵。編集会議であえなくボツ。
気落ちしたからでもないだろうが、4〜5日前から痛かった耳骨が反乱を起こし、口が大きく開けられなくなった。
眼科の次は耳鼻科、忙しいことだ。
“風邪の菌が耳に入ったのでしょう。でも中耳炎にははっていません”との診断で薬と安心をもらって帰って来た。
(ボツといっても今回は使用しないだけのことで、精魂傾けた絵が捨てられる訳ではない)
(玉麗)