9月の河童手本では、ボカシをたくさんかけます。ボカシというのは私たちが(玉麗会で)普段使っている言葉で、いわゆるエアブラシのことです。エアブラシとは、絵の具や塗料を霧状にして吹き付ける、スプレー式の道具です。でも道具を使わなくてもブラシとアミを使って同じ効果を出すことができます。
ボカシは簡単なようでコツがいります。そのメカニズムを理解していないと、なかなか思うようにできないし、失敗することもあります。
ボカシに必要な道具はブラシとアミですが、まず大事なものがブラシです。私はボカシにはこだわりがある方ですが、教室で作業をしていてまず気になるのは、(たくさんありますけど)穂先がぺたんこのブラシをよくみかけることです。
ブラシは天然の動物の毛で作られていますので、人間の髪と同じく破損します。ちからまかせにゴシゴシすると、あっというまに先がへたってしまいます。
画像の左が新しいもの。右が使いこまれたもの。こんなに差が出ます。はじめ穂先は1本1本とんがってフサフサとしていますが、使っていくうちにきれいにカットしたかのように穂先がけずれてしまい、まっすぐ平らになってきます。ぺたんこの穂先ではとてもやりづらくなるのです。
きれいにボカシができないブラシを使っていても、絵の具(アミの上に)とストレス(ご自身に)がたまるばかりです。また、絵の具より墨のほうが膠(にかわ)が入っている分重たくなるのでボカシはより難しくなります。
穂先がもう5ミリくらいしか残っていないブラシに、ビックリしたこともあります。案の定、ボカシには時間がかかって仕上がりもきれいにはなりませんでした。筆はギリギリまで使えることは使えますが、そんなに値の張るものでもありません。こうなる前にもう1本、新調してください。
(雪)